Friday 17 January 2020

単語帳:サービス残業

サービス残業。

この言葉は、おかしい。

サービスという単語は、外来語として日本語になった時点で大きく意味が変わってしまった単語の一つです。

そもそも、英語の Service という単語には、無料という意味合いはありません。

経済活動にて供給される、テレビやパソコンや野菜や肉など、目に見える有形のモノである「財」に対して、交通機関とか金融機関とか病院とか介護とか、目に見えない無形のコトが「サービス」と呼ばれるのです。

「サービス」には、対価が支払われるのが前提です。

ところが、何故か日本では、「サービス」=「無料」という定義付けがなされていて、サービス残業という不可解な言葉が生まれたわけですね。

よって、日本で言うところの、サービス残業を英語にそのまま置き換えて、

Service Overtime と直訳したとすると、そもそも「労働者が会社で働くコト」=「労働力を提供するコト」=「Service」 なのであって、「Overtime」 も、もちろん「Service」 の一環であるので、英語話者からすると、Service Overtimeというのは、全くワケのわからない言葉となるのです。

サービス残業を英語で表現するとしたら、Unpaid overtime が一般的でしょうか。

もしくは、ちょっとイヤミっぽく、Slavery overtime (奴隷残業)とか。

英語における「奴隷」「 slave/slavery」 という単語は、重労働を強制するという意味もさることながら、対価を払わず無償労働を強制するのという意味合いが大きいです

つまり英語では、お金を払わず働く事=奴隷なのですね。

日本の、終身雇用制度というニンジンを目の前に吊り下げられて、家畜のように働かされているサラリーマンの事を揶揄しして「社畜」もしくは「現代の奴隷制度」なんて言ったりしますが、「労働のキツさ」という面だけではなく、「適切な対価を受け取っていない」という面でも、日本もサラリーマンは奴隷に近いかもしれません。

特に、無償で残業するのは、「奴隷労働」にほかなりません。

「サービス残業」なんて、ちょっと聞こえが良い名前をつけてるから、無償残業が蔓延するのです。

でもそれって、やりがい搾取だと思うんですよね。

ハッキリきっぱり、「奴隷残業」と呼べば、雇用主も従業員も、無償残業に抵抗感がうまれるのではないでしょうか。

Friday 10 January 2020

単語帳:Nuts

家計簿診断なんかを見ていたら、よく、意識高い系のヒト達が「食べるものは身体を作るから、食費は減らせない」とか何とか言いながら国産品の肉や野菜にこだわって家計における食費を膨らませていたりしますよね。

英語では、「食べるものは身体を作る」という考え方を、You are what you eat. `と表現します。

そして、こういう意識高い系の人たちがお奨めする食品の一つに、「ナッツ」類があるのですが、昔、英国で、You are what you eat」 という商品名の「ナッツ」が売ってるのを見かけて笑ってしまった事があります。

英語で nut は、「木の実」という意味と同時に、「頭のおかしい」とか「変わり者」という意味もあるのです。

意識高い系のヒト達をターゲットに意識高い系の食品を売りつつ、そんな意識高い系の人たち人をバカにするという、なかなか難易度の高いジョークではないでしょうか。

You are what you eat」印のナッツ、もう今は見かけないので、さすがに文句がでてきて(もしくはあんまり売れなくて)廃盤になってしまったのかもしれませんね。


Monday 6 January 2020

THE HUNDRED-YEAR-OLD-MAN WHO CLIMBED OUT OF THE WINDOW AND DISAPPEARED

おお!ウカウカしていたら、もう2020年になってしまいました。

A Happy New Year!

2019年の読書戦績は……、まあまあ、ちょこちょこと本は読んでいましたが、思ったほど読めていません。

2020年は、乱読でも何でもよいから、もっと色々読みたいです。
せっかくセミリタイアしてるんだから、

そして、2019年の本ブログを見返してみると、全然、読書感想記事を書いていないなあ。

せっかく読書記録ように始めたブログなのに……。

実際は、もうちょっと読んだんですよ。

例えばこの本。

THE HUNDRED-YEAR-OLD-MAN WHO CLIMBED OUT OF THE WINDOW AND DISAPPEARED

by JONAS JONASSON




スウェーデンの作家が書いた小説です。

元々はスウェーデン語だったものを翻訳したものなのかと思っていましたが、翻訳者の名前がないので、作家が自ら英語で執筆したのかもしれません。

英語の使い方が時々、面白い。

どんな風に面白いかというと、ロスト・イン・トランスレーション的に面白い。

なので、外国人が書いた英語だとしたら、その辺りが納得です。

例えば、「上司」という意味で、「superior」という単語が使われているのですが(それは普通なことなのですが)、その反対語、「部下」という意味で、「inferior」という単語が使用されていたりするのです。

いやいやいやいや。

「上司」という意味の「superior」の反対後は、一般的には「部下」「subordinate」でしょう。

こういう感じの、ユーモラスな英語の誤用がそこここに散見されるのです。

思わず、ププっと吹き出したり、ニンマリとニヤついてしまうような間違いです。

絶対にワザとやってるんだと思いますが、ワザとだと思ってもやっぱりププッと笑ってしまう面白さ。

それ以外は、全体的に読みやすい英語だし、物語も、ワタシ的にはコンフォート・リーディングな感じで、とても楽しく読めました。

ちなみに、ワタシにとってのコンフォート・リーディングとは、淡々としていて、それでいてどことなくユーモラスで楽しく読める本を指します。

ドラマチックな展開はなく、ドキドキしたり大泣きしたり、感情を大きく揺さぶられるようなことがない本です。

ドラマチックな本を読むのも楽しいのですが、そういう本は引き込まれてしまって一気に読んでしまうので、ちょっと疲れてしまうこともあるのです。

中年すぎたら、こういうユルユルとした、読んでいて Comfortable な本をゆっくり読んで、まったりとした時を過ごすのも良いものです。