Sunday 22 September 2019

次に行く国、次にする恋

実はワタクシ、けっこう、林真理子先生のファンです。

特に、彼女のエッセイは、言いたい放題言ってくれてて、読んでてスッキリするんです。

ウソだと思うなら、一冊読んでみてください。

でも、ワタシくらいかそれ以上の、ちょっとバブル時代の華やかさを知っている年代でないと、彼女の作品はピンと来ないかもしれませんね。

普段は、彼女のものならエッセイを選ぶのですが、今回はちょっと志向を変えて、短編小説集を選んでみました。

「次に行く国、次にする恋」

短編トラベル/恋愛小説集です

この本の中で描写されている、海外を旅する女性たちは、最近流行の、バックパッカーで世界一周なんてやってる女性たちとは別世界の生き物です。

バブル時代の真っ只中の女性の生態をとても良くがよく分かって面白い。

20歳代そこそこの小娘が、やれシャネルだエルメスだグッチだと海外の免税店でブランド物を買い漁る。

80年代後半から90年代、ヨーロッパのブランド店で、日本人観光客が出入禁止になりそうになっていた時代のお話です。

今や、その役割は、中国人観光客にバトンタッチされましたが。

何を隠そうこのワタクシ、学生時代に何度か、バックパッカーの真似事をしてヨーロッパを旅行した事があったのですよ。

日本が円高でブイブイ言わしていた90年初めの事でした。

そんな旅行の中に一つに、

  • ロンドンから陸路でドーバーへ行き、
  • ドーバー海峡をフェリーで渡ってフランス・カレーへ。
  • カレーからは電車に乗ってパリに南下。
  • パリで数日観光した後、
  • パリから南下する寝台列車 Sud-Express をつかまえてポルトガル入り。
  • ポルトガル国内をグルッと周って日本へ帰国。

なんていう盛りだくさんなコースで、南ヨーロッパを周遊した事があるのです。

この本を読んで、その時に数日間過ごしたパリの事を思い出しました。

パリには、その後も数回訪問していますが、この、最初に貧乏旅行で行ったパリを思い出したのです。

当時のパリに散見された日本人観光客は、まさに、この本に描かれている主人公そのものものだったのです。

ワタシ自身は、貧乏旅行でしたが。

もちろんこの作品は、林真理子先生によるフィクションのはずなのですが、当時の海外の空気感というか、海外旅行に出て浮かれた日本人観光客の空気感を、すごく的確につかみとって描いているのですね。

バブル期に海外旅行デビューしたワタシとしては、なんか、とても懐かしい気持ちになってしまうのです。

内容は、なんて事のないストーリーなんですが。

それでも、当時の、バブリーで華やかで浮かれた日本人の空気感を思い出したくなると、またこの本を手にとってしまうのです。


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